アルゼンチン産の美味しい牛肉とワインをご存知の方は多いでしょうが・・・ まだまだ、それだけではありません!
広大な土地を持つこの国の東西南北には各地域の風土と気候の中で様々な郷土の味が育まれて来ました。
さらにヨーロッパやアジア各国からの移民によってそれぞれの食文化秘伝のレシピが混ざり合い、オリジナリティー豊かな味を満喫できます。
アルゼンチンを大きく4つのエリア に分けて、いざ食探検へ!
(エリア別)
1- 北西:エンパナーダ、ロクロなどと言ったインカ民族の食習慣を残しています。材料はとうもろこし中心で、辛い味付けが特徴です。アラブ人の食文化の影響も見られます。
2- 北東:イエズス教会伝道の歴史が濃く影響するエリアは湿潤な亜熱帯気候。マンジ ョーカ(キャッサバ)や川魚の宝庫です。
3- セントロ&パンパ地帯:大平原で暮らすガウチョの文化を引き継いだ牛や山羊肉のアサード、甘いお菓子にマテ茶は欠かせません。イタリア人とスペイン人移民たちのレシピが溶け込んでいます。
4 -パタゴニア:大西洋の海産物例えばメルルーサ(タラの一種)からパタゴニアで育ったラム肉料理までと最もバラエティーに富んだエリアです。地理的に四季折々の味が楽しめるのが特徴です。
1 北西
トウモロコシ、アヒ(唐辛子)、ジャーキー(牛、羊、豚)はスモークと天日干しにしたものがあり、塩で下味したものは
tasajo と地元で呼ばれます。他には locro(肉と野菜の煮込み)、 humita(トウモロコシを練った蒸しパン)、 empanadas(焼き&揚げパイ)、 chanfaina (ラム・チキンスープ)やキヌ アスープなど。
この地方にはアルト・ペルー (1825年の独立前のボリビア)と入植者スペイン人の食文化が溶け込んでいて世代を越えて今に受け継がれています。
中でもボリビアの辛い味付けが強く影響するのがフフイ州です。トウモロコシの葉に包んだ humitaはトウモロコシをすり潰して山羊または牛のチーズ、玉葱とバジルのソースを加えます。また鶏肉とじゃがいも、唐辛子、白米を混ぜたものにトマトと玉葱のソースをかけたものは一般によく食べられています。
エンパナーダは最もポピュラーな味のひとつですが、各地域ごとにバリエーションに富んでいます。例えば、トクマン州では牛のあばら肉で野菜を巻いたものが詰まったエンパナーダを土釜で焼きます。サルタ州ではジャガイモ、青長ネギ入り。リオハ州とカタマルカ州は更に干しブドウとオリーブの実を加えます。
トウモロコシの粉に水を加えたものを土かめで発酵させた後、沸騰させて作る chicha は北部地方独特のお酒です。
トクマン州で作るtamales は絶品との噂。それもそのはず、下ごしらえにかける手間が違います。牛と豚の頭部の肉から出汁をとりトウモロコシの粉に染み込ませ しばらくねかせます。パプリカで色づけして干
しブドウとゆで卵を加えて出来上がり!
仕上げのデザートに欠かせないものは、チーズと蜂蜜またはメンブリージョ(芋羊羹)やリンゴ、洋ナシ、桃のシロップ煮などです。トクマン州のお菓子
alfeñiques, tabletas,
alfajores de turrón はベースにサトウキビの蜜がたっぷり。カタマルカ州の patai はイナゴマメの粉の揚げパンです。濃厚な味付けの後は消化を助けるコカ茶をどうぞ。葉をそのまま口にふくんで噛んで味わうことも出来ます。
2 北東
17世紀初頭、コリエンテス州とミシオネス州にイエズス会宣教師達が入植したことにより、太陽と肥沃な土地と恵みの雨に育まれた先住民グアラニー族の食文化と混ざり合いました。また国境を接するパラグアイとブラジルの存在もこの地の食の特徴です。
地元料理のレシピは chipá(マンジョーカの澱粉に卵を加えた揚げパイ)、mbeyú (チパの卵の代わりに牛乳、チーズ入り)、
mbaipy などグアラニー語の余韻を残しています。
ユカやトロピカルフルーツ(パパイヤ、グアヤバ、パイナップル)、川魚(スルビ、パクー、ドラード)のエンパナーダなど一風変わった料理があります。この地方の一押しはスルビ(川鯰)やドラード(黄金色の魚)のソテーや網焼き、パクーの炭焼き又はフライ、シチューなど。パラナ川沿いの町や村にあるレストランでは新鮮な材料が自慢です。
一方、山岳地方のマテ栽培農家の人々が朝食に欠かさないものに、reviro という玉葱と卵をベースにした肉スープがあります。
面白いのは「パラグアイスープ」という名のパン! 白トウモロコシの小麦粉、チーズ、玉葱入りです。
またこの地に入植したヨーロッパ移民にはドイツ人、ウクライナ人、スイス人たちが挙げられます。ミシオネス州の Oberá は入植者たちの首都と呼ばれ、各国の味自慢のレストランが20軒近くあります。エントレリオス州は味にうるさいイタリア人移民が伝える伝統の辛口サラミが有名です。
一方、甘党の方には地元では mamónと呼ばれるパパイヤや lima(ライム)、キンカンのデザートをお薦めします。
3 セントロ&パンパ地帯
ブエノスアイレス州とパンパの食はアサード抜きには語れません!もともとはガウチョたちの主食でした。
味の決め手は肉のカットの仕方と火加減です。古くは牛を丸ごと2日間も火にかけました。現在では切り分けた肉を地面に掘った穴で数時間ほど焼いた後、さらに数時間かけて炭火でじっくり調理するか、鉄串に刺して直接焚き火であぶって調理するか、または網焼きにするのが一般的です。これらはどのエスタンシア(牧場)でも見られるスタイルで、滴り落ちる肉汁を目前にすると実に食欲をそそります。アサード料理が食べられるレストランを Parilla パリージャと呼びます。
肉の部位
Bife de lomo(テンダーロイン、フィレ),Bife de chorizo(サーロイン), Asado(リブロースト), Vacío(フランクステーキ),Cuadril(ランプステーキ、そともも),Bife de costilla(Tボーンスペアリブ), Bola de lomo (すね肉) Paleta (かたロース),Higado (レバー), Matambre (バラ、ともばら), Lomo (らんいち), Ojo
de Bife (キューブ・アイ・ロール)。 Morchillas (血入りのブラックソーセージ)、 Chorizos(香味ソーセージ),Salchicha(細長く丸まったソーセージ)などはメインディシュの前にどうぞ。Chimichurri ソース(ニンニク、パセリ、酢)をつけて召し上がってください!肉は牛の他に山羊肉もあり
、カタマルカ地方では激辛に味付けして炭火焼きします。
肉料理以外でポピュラーなものには
Locro / Puchero (北部サルタの家庭料理、骨付き肉と野菜やポロト/レンテハなど豆入りシチュー、ボリューム満点), Empanada(ゆで卵、オリーブの実入りのミートパイ、具はひき肉の他にもチーズのみや鶏肉 、シーチキン、トウモロコシもある), Humita (トウモロコシの粉を練り塩味で蒸したおやつ、肉や卵入りも),Arroz con leche(お米のプティング)。
コルドバ地方ではとても甘いエンパナーダ、メンドーサ地方では甘さ控えめ干しブドウがたっぷり入ったものなどと地方ごとに特徴があります。
中でもコルドバ山岳地方の特徴は唐辛子、クミン、胡椒で味付けした後、麻布に包むことです。この麻布には小麦粉の液が塗りつけてあり高い温度の釜に袋ごと入れ焼くと、布が殻の役目をして中の肉が旨味を逃がしません。
4 パタゴニア
子羊、マス、魚貝類、鹿、猪はパタゴニア料理の基本材料です。
San Martín de los Andes,
Bariloche, El Bolsón など湖水地帯では猪肉のブルゴーニャ風料理があります。また山間部の鹿・猪肉、マスの燻製のおつまみとヨーロッパ風のチーズフォンデュはビールや赤ワインと相性抜群です!
変わったところでは、Curanto という料理で肉や野菜を地面に掘った穴に熱した石を置いて焼いて上から葉と土でふたをしたものがあります。
一方、大西洋側の海岸地帯では海の幸が味わえます。Mero(銀ムツ)、congrio(アナゴ)、merluza(タラの一種)、mejillón (ムール貝)、almeja(ハマグリ)など。特にメルルーサは白身の軟らかい舌触りで刺身に出来るほどです。
また、ビーグル海峡の水温5℃あたりで獲れる centolla(ケアシガニ) は塩とローレルの葉入りの沸騰させた湯で茹でてレモンをかけてどうぞ!
とっておきは弱火で焼いた軟らかいパタゴニア風 ラムと田舎風シチューで味わうちょっと珍しいグアナコ肉です。地元では子羊を皮付きのまま香ばしく焼いたり、ジルなどのハーブで味付けします。
デザートには、豊かな森林地帯で摂った木の実やイチゴ、リンゴを使ったケーキやジャムがあります。 また、南部はチョコレート作りでも知られていて
130種類近いバラエティーが楽しめます。
チュブト州の Gaimán の町では、ウェールズ人入植者の秘伝の濃厚なチョコレートケーキ、スコーンをお供に英国式アフタヌーンティーが楽しめます。
!要チェック!
またアルゼンチン料理のみならず、世界各国の味覚 に出会えることも特徴です。
なぜなら国民の50パーセント以上がイタリア人移民の血を引き、更にスペイン人、アラブ、ドイツ、中国、日本、韓国人と大移民国家なのです。
したがって本場に負けず劣らないパスタ、ピザ、パエーリャ料理など、その他各国の本格的レストランが数多くあります。
アルゼンチン郷土料理の用語集
ALOJA パイナップル、イナゴマメ、メンブリージョなどフルーツを発酵させたビール。
ARROPE TUNA というサボテンの実やブドウ、プラム、桃などを濃く煮詰めたシロップ。インカ時代から伝わる。
BAGNA CAUDA にんにく、アンチョビ、くるみをミルククリームに加えて土鍋で煮詰めた熱々のソース。肉からサラダ にまで相性がいい。この料理の名にちなんだ
BAGNA CAUDA FESTIVAL はサンタ・フェ州で行われる郷土祭り。期間中はフォルクローレ音楽コンサートやミスコンテスの他、 BAGNA CAUDA ソースの大試食会もある。
CABURE チパに似たケーキ
CARBONADA 地域ごとに特徴が違うがペルー、チリ、ラ・プラタ周辺でポピュラーな煮込みシチューのこと。具は肉 、サパージョ、トウモロコシ、砂糖、酢、干しブドウ入り。
COLACION ドゥルセ・デ・レチェ(牛乳を煮詰めた甘いクリーム)入りの砂糖菓子
CHARQUI ペルー、ボリビア伝来の牛肉またはリャマ肉の天日干し。
CHULA 肉のマリネ
CHUPE ペルー発祥の野菜、牛肉または魚と米のごった煮
CHUPIN 牛肉とジャガイモの甘唐辛子スープ
FARINA グアラニー族に元をたどるマンジョーカ粉のパスタ
GAZNATE ブランデーを加えた揚げパイ。中にドゥルセ・デ・ レチェが詰めてある
HUASCA LOCRO ケチュア語の名が付いたロクロ。トウモロコシ、インゲンマメ、玉葱で。
MBAIPI グアラニー族発祥、すり潰したトウモロコシとチーズのおかゆ。甘いものもある。
MBEYU マンジョーカの澱粉、豚の脂、チーズを合わせて釜で焼いたパイ
MBUTUCA トウモロコシのすり粉、砂糖、牛乳で作る板状のお菓子
MOTE 灰を加えて洗い、塩茹でしたトウモロコシ
PIRCO ポロト(マメ)とトウモロコシ、骨付きの豚肉・ベーコンの煮込み
QUESU CAMBA 黒チーズ
QUIBEBE 肉の付け合せにするカラバサ(かぼちゃ)やトウモロコシのペースト
SANQUILLO トウモロコシ、サパージョ、牛乳で作る
SOPA BURI トウモロコシの粉団子入りチキンスープ
TABLETAS メンドーサ産のアニス入りアルファホール菓子
TAMALES コロッケのように練ったトウモロコシ粉の皮に肉や卵のみじん切りしたものを詰めて、トウモロコシの葉に包んで茹で上げたもの。地域ごとにバリエーションに富んでいる。
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